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夕飯から金融工学まで

何者【ネタバレあり】

読書

こんにちは、Nobbyです。

今日は最近読んだ本について書こうと思います。

その本とは、朝井リョウ・著『何者』。

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

佐藤健・主演で映画化もされました。

簡単にあらすじをご紹介しますと、就活を目前に控えた5人の大学生が、ちょっとしたきっかけで集まるようになったところから話は始まります。説明会に参加しESを書き面接を受け…と、就活が進んでいく中で、それぞれの心境にも変化が。就活で苦しむ若者を描いただけでなく、誰もが抱いているであろう自意識に鋭く切り込んだ作品です。

ここからは軽いネタバレなので、本をご一読の上進んでいただきたいのですが、原作を読む気も映画を見る気もない、という方はこのままお進みください。

これを読んでまず抱いた感想が、就活って怖いな、と。

以前書きましたが、僕は3回生の時インターンの選考にことごとく落ちました。10社くらい受けて通ったのは1つだけ。正直かなり堪えました。

選考に落ち続ける中で、自分は社会不適合者なのでは、自分には就職は無理なのではないか、と思うようになりました。大学院進学を決意したのもそのためです。

ただ、僕が経験したのはインターン選考。実際の就活には(名目上は)直接関係しません。

これがもし本番の就活だったら?という恐れを、この本は書いています。

主人公・二宮拓人はなかなか内定を勝ち取ることができません。同居人の光太郎と、思いを寄せる瑞月は内定を取るのですが、それを見るにつれて焦りが出てくる。志望ではない業界も受けるようになるが、それでも内定はもらえない。結局、拓人は内定を取ることができないまま、ストーリーは終わります。

しかも、これはネタバレなのですが、拓人は就職浪人をしています。4年生で内定を取ることができなかったから、留年して就活をし直しているのです。これが一番インパクトが強かった。自分も就職浪人するかも、という不安が強くあったので。

そういう意味で、就活への恐れがかなり大きくなってしまったのですが、先述の光太郎のセリフには少し心が安らぎました。

「俺って、ただ就活が得意なだけだったんだって」

(中略)

「なのに、就活がうまくいくと、まるでその人間まるごと超すげえみたいに言われる。就活以外のことだって何でもこなせる、みたいにさ。あれ、なんなんだろうな」

そう、得手不得手なだけかもしれないのです。内定がもらえないからといって、その人間が完全に否定されているわけではない。このことに気づかないと就活は相当しんどいんだろうな、と思いました。実際インターン落ちまくった時ものすごく自信を失ったので。

 

『何者』は就活だけを話題にした本ではありません。先ほども書きましたが、人の持つ自意識や、他者への見方についても描かれています。

拓人は冷静に周りを分析しています。モノローグでも、別の登場人物の発言からその人の性格を分析したり、その場の空気を感じ取って発言する内容を決めていたりします。

一般的な就活に対して苦言を呈し、小さなことを「仕事」と言って周囲にアピールする登場人物・隆良に対しては特に厳しい。内心ボロカスに言ってます。

また、隆良の恋人である、意識高い系の理香にも冷めた目を向けている。ESの添削をしてもらったり名刺を作ったりしている彼女を、どこか小馬鹿にしているようにも捉えられる心境で見ています。

確かにこれらの登場人物は見ていて滑稽です。ですが、そのようにして「一歩引いて周囲を分析している自分」に酔っている拓人も、同じくらい滑稽であることに気付かされるのです。

この3人には、全てとは言わずともどこかしらで共感を抱いてしまうのではないでしょうか。だからこそ内容が心に刺さるのだと思います。

 

書評というものをしたことがないので拙い文になりましたが、『何者』については以上です。

就活を控えた大学生には一度読んでもらいたいなあ、と思いました。あとは(自覚がない人含め)自分に酔っている人は読んでほしい。紹介文にも書いてあるのですが、「ラスト30ページ、物語があなたに襲いかか」ります。僕はボロボロにやられました。

映画も一度見てみたいです。主題歌の『NANIMONO』がかなり好きなので。

NANIMONO (feat. 米津玄師)

NANIMONO (feat. 米津玄師)

 

あと有村架純がかわいい。